わが社がウイスキーの蒸留を初めてから200年の間、私たちはテイスティングを続けてきました。私たちがこのガイドブックをつくったのは、テイスティング・プロセスの謎を解いて、すべての始まりとなった液体の中で放出されるのを待っているフレーバーと香りのほとんどを、あなたが楽しめるようにしてあげたいからです。

外観

まず第一にウイスキーを見ましょう。あなたのグラスの中のウイスキーがどう見えるかによって多くのことを語ることができます。それはシングルモルトウイスキーの色が熟成の方法に大きな影響を受けているからです。例えば、ナデューラ・ファーストフィル・セレクションは、ファーストフィル・アメリカンオーク樽で熟成され色は淡く明るいレモン色の陰影があります。これとは対照的に、ナデューラ・オロロソはシェリーで使用後のオークで熟成され鮮やかな琥珀色をしています。

ウイスキーの色を判断するには、灰色っぽい背景にグラスをかざして目を凝らします。下のカラーチャートを参考にすれば、あなたのウイスキーをチャートにある陰影の一つと一致させることができます。

香り

ウイスキーをよく見たら、次はその匂いを嗅ぐ時です。ウイスキーの香りを嗅ぐのは表面的なことではなく、テイスティングの体験には欠かせません。専門家が言うには、私たちの味覚のほぼ80％は嗅覚からくるものです。人間の鼻は最大35,000の匂いを認識でき100万分の1に薄められたアロマを感知することができるそうです。

従って、この精巧な器官である鼻を最大限に活用するために常に1回以上ウイスキーを嗅ぐようにしてください。あなたが吸い込むとアルコールが最初に入ってきますが、2回目はウイスキーの異なる特徴が現れるようになります。香りが広がって、フルーティ、フローラル、スパイシー、ウッディ、クリーミー、スイートなどアロマの完全な旅を体験するでしょう。ウイスキーに少し水を加えることで、このプロセスが実にうまく運びます。

チューリップの形をしたグラスを選んでシングルモルトの香りを嗅いでください。その一番上の部分の狭い面積が、アロマの閉じ込めと放出の両方を行います。

味わい

一口分のウイスキーを、少しの間、口に含んで、できるだけゆっくりと飲み込みます。あなたの口の中でどう感じるか、最初にに気付きます。これが”口当たり”です。その液体の粘度、辛味、そしてスムーズさを感知します。この段階でウイスキーは、クリーン、クリスプ、リッチ、クリーミーあるいはシルキーのような言葉を使って描写されます。

非常に強いスピリッツでは、明らかに辛味があって、あなたの鼻と舌を刺激することがあるかもしれません。ウイスキーを味見すると、香りを嗅いだ時に認識したアロマの他に新しいアロマを発見するでしょう。

この時点で、あなたはウイスキーの数多くのフレーバーも感知するでしょう。それらは通常、ナッティ、スイート、スパイシー、フルーティあるいはスモーキーに分類されます。しかし、もっと細かいフレーバー、例えば、ハニー、トフィー・アップル、オレンジ、シナモン、ヘーゼルナッツそしてレーズンなども出て来ます。指針として、私たちの製品それぞれのテイスティング・ノートをご覧ください。

フィニッシュ

蒸留所では、ウイスキーの”フィニッシュ”についてよく話し合います。フィニッシュはウイスキーを飲み込んだ後にフレーバーが口の中に残る時間の長さのことです。古いウィスキーでは、フィニッシュは長い時間、数時間も続くことがあります。

製品によってフィニッシュは、ウォーム（温かい）、クリーン、シャープあるいはドライなどという言葉で表現されます。新しいフレーバーもまた、このステージで出てくることがあります。バニラ、リコリス（甘草）、チョコレートあるいはジンジャーです。

水

ウイスキーに水を加えると香りを放出しやすくなりますが、水の量によって、反応は皆それぞれに異なります。これには科学的な根拠があります。加えた水が、エステルのような長鎖化合物の溶解性を減少させるからです。愛飲家の中には、ほんの数滴だけの人もいれば、かなり多く必要な人もいます。

水を加える影響は、にわか雨の後に田園地方を歩くのと同じです。いい香りがして花の香りを嗅ぐことができます。水がウイスキーと混ざり合うと、わずかに発熱反応が起こります。これがアルコール強度を低減させますので、そのアルコールがあなたの鼻を刺激するというよりは、あなたがフルーティでフローラルなフレーバーを感じることになります。